佐賀市大和町川上地区(大久保)中原キノさん

お釈迦さんと雀・燕・蚯蚓・蛇・蛙

お釈迦さんと雀・燕・蚯蚓・蛇・蛙

お釈迦さんの病気で亡くなろうでしよんさっ時、雀とか蚯蚓とか、何でんいっしょに行ったらしかたんた。

そいぎんと、雀が一番先ぃ行たて、「食ぶっぎよかろうか」て聞いたぎ、「お前、早う来たけん、米食うてよか」て、お釈迦さんの言いんさったて。お初穂ば食べてよかてね。

そいけん、米がでくっぎ、き、雀がとって食ぶっもんね。

そいから、蚯蚓も来てね、「何食ぶっぎようろうか」て聞いたぎ、

「お前は遅うきたけん、泥どん食うとけ」て言わしたて。そいぎ、「泥食うてしまうぎ、どがんすっぎよかろうか」て、また聞いたぎ、

「泥食うてしまうぎね、夏の土用のうちに、地面に出て死んどけ」ち言われたけん、そいけん、蚯蚓は土用の暑い時には、道に出てきて、死んどっ。

そいから、燕な、付け付けして、お化粧しゅうで暇のいって、もう、お釈迦さんの死ん間際になったてったんた。あんまいお化粧して、遅うなってしもうて。

そいて、「ぁ、何食うぎよかやいか」て聞いたとやろ。

そいぎ、「お前な、虫ば食うとけ」て言われたてったんた。

そいけん、今でも虫しか食われんて。

そいばってん、きれいに身だしなみば良うして来らしたもんじゃい、お葬式ん時のオズシ(お棺)の上には、燕の絵ば付くっごとしちゃって。

そいから、蛇も遅うきて、

「は、何食うぎよかやいか」て言うたて。

そいぎ、横から

「がどん食え」て、が言うたて。

そいけん、今でん、我が口ゆえ、蛇から尻から食べらるっでしょうが。

(出典 大和町の民話 P17)

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