猿どんと蟹どんの餅つき

佐賀市大和町春日地区（福島）寺崎キクヨさん

むかし、猿どんと蟹どんがいたそうです。

そして、急に「餅つこうじゃっかい」と言う話になりました。

そして、「お前（おとん）な、稲ば拾うて来（き）やい。俺（おい）は小豆（あずき）ば拾うて来（く）っ」と猿どんが蟹どんに言いました。

それから、臼と杵も借りて来て餅をつきました。

餅をつき終わってから、猿どんは蟹どんに

「お前（まい）が、臼ば借って来たもんじゃい、返（きゃあ）て来（き）やい」と言って、返しに行かせたそうです。

それで、蟹どんがいないうちに、餅を全部、袋に入れて、猿どんは木の上に全部持って逃げたそうです。

蟹どんは帰って来て、「俺（おり）ぃ一（い）っちょくーれんかん、俺ぃ一っちょくーれんかん」と言うけれど猿どんは、くれません。

そして猿どんは袋を柿の木にぶら下げて、片足飛びなどして遊び始めました。

すると、そうしているうちに餅が入った袋が下に落ちてしまいました。

そこで、蟹どんは、その袋を拾って一目散に穴の中に持って逃げました。

今度は柿の木から猿どんが降りて来て、穴の上から

「俺（おり）ぃ一（い）っちょくーれんかん、俺ぃ一っちょくーれんかん」と言うけれど、

蟹どんは「お前（おとん）なくれんじゃったけん、何のくるっかい」と言って、やらなかったそうです。

猿どんは「そんない、くれんで良かじゃ。俺が糞ひっかくっじゃ」と言ったそうです。

すると、蟹どんは下からゴソゴソ上がって来て、猿どんが糞をしようとした時、はさみでチョキッと尻を切りました。

それで、猿のお尻は今でも真っ赤にしているそうです。

そいでばっきゃ（それでおしまい）

（出典　大和町の民話　P16）

佐賀弁版 TOPへ