佐賀市大和町春日地区(久池井)久保義男さん

萩原長者と淀姫さんの鯰
むかし、久池井の萩原(おぎはら)ていうところに、萩原長者ちゅうとがおって、非常に栄えとったて。
その長者は、畑に韮を作っとったて。
そいぎ、その韮を、毎晩、何かがいち食いに来るて。
そいで、夜に隠れて、こう見よったところが、川から何かが上がってきて韮を食いよって。
そいで、次の日に、灰を、焚き火の灰を、畑いっぱいに降りまいとったて。
そうしたところが、その次の日の朝になったぎ、鯰が灰ば被って、動けんようにいちなっとったて。
そいけん、さっそく、萩原長者がその鯰ば料理して食べたところが、たちまち滅びてしもうたて。
その鯰は淀姫さんの使いじゃったて。
(出典 大和町の民話 P14)