佐賀市大和町吉富 石津チヨさん(明33生)
むかぁし、お爺さんとお婆さんと、おんさったて。
そして、歳の暮れに、川原に行たて、やっぱ、家の貧しかったじゃろね。
そして、
「歳ぁ、どうして取ろか」て、川端(かわばた)で言うたぎ、
イモリャア【ヤモリ】がね、
「お米でトンサイ、お米でトンサイ」て言いよったて。
そいぎにゃあ、また、
「歳ぁ何で取ろよ」て言いよったぎ、
「ツンの葉モロの葉、オットンサイ」て言うたて。
そいぎ、やっぱ貧乏にしとったとこりぇ、
「うちの、イモリャアは、もの言うぞ」て言いよったぎ、
「イモリャアのもの言うもんか」て言うごたっ風で、
「いんにゃあ、もの言うた」、
「そんない、見せてみろ」て言うちゃったぎにゃあ、
やっぱい、もの言うたて。
そいで、お金のどっさい【たくさん】寄って、歳ぁ立派に取られたて。
そいばっあきゃ(それでおしまい)
(出典 新佐賀市の民話 P18)