佐賀市三瀬村唐川 垣久国三さん(明8生）
八兵衛は貧乏で、たくさん銭を借りていました。
借金取りが催促に来る前の日に自分は死んだことにしてました。
そして、催促人たちが来る時は、
仏さんの周りに位牌 を作って、嬶を前に座わせていました。
そして、催促人たちが、
「ここは八兵衛さんの家やっかん」と尋ねて来たから、
「八兵衛さんな死んでしもうて、今日は三日目になっ！」と、嬶が言いました。
それで、催促人たちは
「八兵衛さんな死にぁたてやぁ？」と香典までくれました。
すると、嬶は、
「そがんことはせんで良か。借金は返さじぃおっけん」と言ったら、
八兵衛は二階に隠れていたのですが、
「とっとけ！とっとけ！」と言い出すと、
上からゴトーンと落ちてきたそうです。
それで、催促人たちは、
「こりゃあ、八兵衛じゃなかか？」と言ったら、
八兵衛さんは、
「今地獄から、夜通し走って来た」と答えたものだから、
催促人たちは、驚いて全員逃げて帰りました。
それが、やりくり八兵衛だそうです。
（出典 新佐賀市の民話 P11）
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