佐賀市兵庫町 木塚クニさん(明29生)
むかし、むかし
蛙(ビッキー)の息子が、本当(ほん)に親不幸者(もん)で、
親の言うことに反対ばっかいしよったてっじゃん。
そいもんじゃい、お母さんが死ん時、
「俺(おい)が海端(うみべた)【海の側】に埋(い)けてくいろと言うない、
こいが【子供が】山に埋むっじゃろ」と思うて、
「俺が死んだ時ぁ、海端に埋めてくんさい」と言わしたて。
息子がいつも反対ばっかい言いよんもんじゃい。
そいぎ、息子が、最後いっちょは【最後だけは】、
本当なこと聞かじゃあ、と思うて、
山には埋めじぃ【埋めないで】、海端に埋めてしもうたて。
そいけん、雨の降っ時になっぎ、
「お母(か)さんが、キャア流れなっ【流れてしまう】」て言うて、
蛙が鳴くて言う。
そいばっきゃ(それでおしまい)
(出典 新佐賀市の民話 P24)