佐賀市高木瀬町 秋吉トミさん(明42生)
徐福さんが佐賀に上陸しんさって、
徐福さんの通んさった所(とこ)の
葦(よし)の葉は、片方しか、なかて。
そして、春日(大和町)の尼寺の当たりを通って、
千布に来られたて。
その時、千の布を敷いてお通りになられたから、
千布て言うて。
そして、源蔵松の所で、ちょうどそこに居酒屋のような所があったんで、
ちょっと立ち寄って、お酒を飲んだそうです。
それで、そこの娘のお辰さんがお酌したところが、
徐福さんがお辰さんに惚れこみござったわけ【惚れられた】。
そいでん、徐福さんな、勤めで金立山に不老不死の薬が生えとるからと、
そいば、探し求めて来(き)とんさっから、お辰さんと一緒になられんて。
そいで、お辰さんな、徐福さんと別れるとの、
悲しさのあまりにですね、堤に身を投げて亡くなられたて。
その場所に、お辰観音さんば、お祀りしてあっ。
そうして、悲しさのあまりに死にんさったけん、
「雨を降らせござ」って言うて、
雨ごいをする時は、観音さんを外に出して浮立をして雨ごいをしなっ。
(出典 新佐賀市の民話 P32)