佐賀市久保泉町 木塚一郎さん(明35生)

 むかし、むかし、あるところに、

侍が川岸で、魚を料理していたら、

川の中から、その魚を取ろうでして、

河童が手を出したとたん、

侍は、その手を刀でパチっと切ったて。

河童は、その手を残して逃げて行ったて。

それから数日後、河童が侍のところに来て、

「あの手ば、返(かや)ぁて【返して】くいろ、切り傷には、

本当(ほん)に良か膏薬(こうやく)ば教ゆっけんが」と言って、

手をもらって帰ったて。

その膏薬は今も、その侍の子孫に伝えられているげな【そうな】。

そいばあっきゃ【それでおしまい】。

(出典 新佐賀市の民話 P30)

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