佐賀市諸富町上大津 徳川春季さん（明36生）
和尚さんが檀家回りして留守の時に、
小僧さんが、ぼた餅を、
ご本尊様から取って食べてしもうたて。
そして、和尚さんが、戻って来て、
「あのぼた餅は知らんかぁ」ち言うたいば、
「ぼた餅は、ご本尊様の食べたぁ」ち言いなったて。
そいけん、本当（ほん）なことじゃろうかて思うて、
和尚さんの確かめてみたいば、ご本尊様の口端（べた）に、
べったり、あんこの引っ付いとったて。
そいぎ、和尚さんいつもは信心しとんさっばってんが、
棒で本尊様ば叩いたて。
そうしたいば、「クワーン」ち言うたて。
そいけん、「ほら、『クワーン』ち言うた」ち言うたて。
そげな、落とし話を聞いたことがある。
（出典 新佐賀市の民話 P34）
