佐賀市東与賀町今町 吉田ヒロさん(明37生)

 むかし、息子とお父さんの二人で、

婆さんを背負って山に捨てに行ったそうです。

そして、婆さんを捨てた後、背負っていた篭を外して、

「こい、もう捨てて行こー」と親父さんが言ったら、

息子が、

「いんにゃあ【いいや】、こいでまた、お父さんば背負うて来ないといかんけん」と言ったので、

自分も捨てられると思い、婆さんを連れて帰ったそうです。

それから、家に連れて帰ったら、殿さんから、

「灰(ひゃあ)で、縄ば綯(な)えて」と言うお触れが回ったそうです。

それで、助けてもらった婆さんが、

「もう、藁(わら)ば良(よ)-っと【良く】打て」と言いました。

そして、「そいで、固(かと)う【固く】綯え」と。

「固とうのうて【固くなって】、縄ば綯うぎ【綯ったら】、そいば焼いても崩れん」から、

それを持って行けと言ったそうです。

それから、姥捨て山は、しないようになったそうです。

 

(出典 新佐賀市の民話)

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