佐賀市久保田町草木田 男性(名前・年齢不詳)

 けちんぼの和尚さんが、おいなったて。

そいて、檀家から餅なんかを持ってくるでしょう。

そいを、小僧さんには、なかなか食わしてくれんちゅわけです。

そいけん、小僧さんが、たらふく食べたいなぁ、て思いよんさったて。

そいぎ、ある日、

小僧さんが、檀家まわいで、

お経あげに行ってきなって、帰ってきなったて。

そいけん、和尚さんが、

「お前はいつも怠けてばっかいおっばってんが、

今日は、どこどこ回ってきたか」て聞きなったて。

そん時丁度、餅の焼けよっ匂いのしよったちゅうわけですよ。

そいけん、和尚が、また、こっそい我がいち食【き】いよっばいにゃあ、

て思うて、火鉢の中の火箸を取ってさい、

今日は、誰それさんの家【うち】から、

こっつぁん回って、こう行たて、

そいから、またこう回って、ずーっと行たて、

ちゅうて、火鉢ん中ば、かき回すわけよ。

そうしたら、餅がコロコロコロコロ出てくるわけ。

そいで、餅ば食ぶっことの出来(でけ)たて。

 

(出典 新佐賀市の民話 P59)

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