佐賀市久保田町徳万 男性(名前・年齢不詳)
昔は、この辺ば、太俣郷て言いよったもんね。
そこで一番の金持ちの長者がね、
使用人ば、たくさん寄せて、正月の宴ばしよった訳たんた【そうです】。
そん時に、一番上の使用人に、餅ばね、
「餅ば向うに飾れ」ちゅうてね、丁度、庭ん真ん中に、こう高(たこ)う台ば作って、
そう上に、餅ば二重ね乗せたてわけたいね。
そうして、
「弓を持て」ちゅうて、
今度(こんだ)、弓を持って来らせて、そいで、その弓で、餅ば射たわけよ。
そいぎぃ、射た餅がね、白い鳥になってバーって飛んで行ったて。
そいから、その長者は没落したて。
そがん、お爺さんから聞いた。
(出典 新佐賀市の民話 P58)