佐賀市富士町下無津呂 男性(名前・年齢不詳)

 昔の伝えでは、

繰り返し合戦があって、平家の落人が、

筑前の糸島の方からこっちにやって来たて言うですね。

下無津呂に大刀洗の水てあっです。

私が子供の時分は、そこに行くと、この水は飲むなて言われよった。

「これは、大刀洗の水」て

「戦で負けて、そこで、首切られさして、

その時の血の付いた刀ば

ここで洗わしたけん、縁起の悪か」て。

そんな伝説のあっ。

それからですね、

そこの部落には兜(かぶと)かけの石て言うのもあっです。

それもですね、平家の落人が源氏に追われて落ち延びて来てね、

「もう、ここまで来たら大丈夫だろう」て言うんでね、

その石に兜を置いて休んだてね。

そいけん、そがん言うて言う話もあります。

(出典 新佐賀市の民話 P16)

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