佐賀市富士町西畑瀬 下川 ツルさん（明34生）
むかし、旅人が、夜遅くなったから、百姓の家に、
「遅うなったけん、今晩、泊めてくんさい」と来ました。
そこは親切そうな家で、喜んで泊めてくれました。
すると、夜遅くなり、旅の人が目を覚ましたら、
台所で夫婦が話しているのが聞こえて来ました。
「明日の朝に、旅人さんには半殺しば、しゅうか」と、
旦那さんが言ったら、
「いんにゃあ【いいや】、本殺しが良かたいのぅ」と、
お婆さんが言いました。
お客さんは、それを聞いて驚いて、
「俺（おりゃ）あ、殺さるっばい。早う逃げんば」と、
裏口から、逃げ出したそうです。
後で聞いたら、
「半殺しはおはぎで、本殺しは餅じゃった」と言う話を聞きました。
（出典 新佐賀市の民話 P13）
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