佐賀市富士町中原 吉富 ツル子さん(昭6生)

 貧乏な爺さんと婆さんが、

大晦日の晩にですね、

「もう米もなかばん。何もなか。
明日(あしちゃあ)は、何(なーい)で歳とっかにゃぁ」ちゅうて、

話しておらしたて。

そうしたりゃぁ、上(うえ)ん辺(にき)から、

「お米でお歳はおっ取んさい、お米でお歳はおっ取んさい」て、聞こえて来たて。

そいけん、爺さんの、

「婆さん、何じゃぃ聞こえんかぁい」て言うたぎ、

「何てっちゃい聞こゆんのぅ」ちゅうて、

婆さんの神さん棚ば見んしゃったぎぃ、お米の載っとったてったい。

そいけんが、そいで、歳ば取いえた【年を取れた】ちゅうて、話して聞かせよんしゃった。

(出典 新佐賀市の民話 P12)

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