佐賀市長瀬町 納富信子さん（大14生）
佐賀の蛙と福岡の蛙
佐賀の蛙（ビッキィ）が、
「ちょこっと福岡見物に行こう」と言って、三瀬峠へ行ってました。
すると、三瀬峠で向こうから、福岡の蛙（ビッキィ）がピンピン跳んで来ました。
そして、佐賀の蛙（ビッキィ）が、
「おーい。お前、どこさい行きよっこう」と言ったら、
「俺（おり）ゃあ、佐賀ん見物に行きよっくさー」と博多の蛙（ビッキィ）が答えました。
それから、今度は、博多の蛙（ビッキィ）が、
「お前、どこさい行きよっこう」と聞いたから、
「俺（おり）ゃあ、博多見物しぎゃ行きよっ」と答えました。
そして、
「ここの三瀬峠がいちばん高（たっ）かろうもんじゃい、いっちょ眺めてから行くか」と、二匹は見物しました。
すると、佐賀の蛙（ビッキィ）が、
「博多ん町て言うたって、佐賀ん町と同（おなー）しごとしとっやっこう」と言いだしました。
それで、博多の蛙（ビッキィ）も、こうして見て、
「おりょっ。そがん言うぎぃ、佐賀ん町も博多ん町と同しことしとっじゃっこう」と言いました。
そうして、
「あさん【お前】が見ても、そがんこう」と言いましたて。
蛙（ビッキィ）たちは、自分たちの目が後ろに付いているとはわからず、
後ろに背伸びして、佐賀の蛙（ビッキィ）は佐賀を、博多の蛙（ビッキィ）は博多を見ていたのです。
「佐賀ん町も博多んごとしとっ。博多ん町も佐賀んごとしとっ。そんないば、ここで引き返えそう」と言いました。
「そいじゃあ【さようなら】」と言って、そこで別れて引き返しました。
自分の目が後ろに付ているとわからなかったと言う話。
そいぎぃ、ばあっきゃ。【それで、おしまい】
（出典 さが昔話 P35）
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