佐賀市長瀬町 納富信子さん（大14生）
ご主人と弟子がいらっしゃいました。
ご主人は黒砂糖を瓶に入れて、自分一人で舐（な）めていました。
それで、弟子には食べられないように、
「これは、ものすごく毒だから、ブスだから、舐めてはいかん。食べたら死ぬから」
と言って出かけられました。
すると、弟子は、ご主人はあんな風に言ったけれど、
どうも舐めているようだと思いました。
ご主人の出かけてる間に、
「ちょっとだけない良かろう」と舐めたら、おいしかったそうです。
それで、どんどん舐めてしまいました。
すると、だんだん少なくなっていくわけです。
そして、とうとう、なくなってしまいました。
どうしようかと考えて、その瓶を割ったのです。
そして、ご主人さんが帰って来て、
「食べたらいかんて言うたのに、何で食べたか」と言われたら、
すると、弟子は、
「大事な瓶を割ったけん、死のうて思うて、
このブスば舐めたばってん、死なんやった」と言いわけしたそうです。
（出典 さが昔話 P51）
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