佐賀市長瀬町 納富信子さん（大14生）
ある時、一休さんが大根を川でせっせと洗っていたそうです。
そしたら、川の向こうで馬に乗った、どこかの偉そうなお侍さんが笠も取らずに、
「これ、小僧、何々（なになに）さんの家へはどう行くのだ」と、
馬の上に乗ったまま尋ねたそうです。
すると、一休さんはブスっとして黙ってました。
そして、また、
「おい、小僧」と言われたものだから、
一休さんは、その大根の根っこの方を上にピャーンと立てて、そのお侍さんに見せたそうです。
そして、そのお侍さんは、しばらく考えて突然、馬から飛び降りて、
そして、被っていた笠を取って、
「これ、御出家様。何々さんのお宅へはどう行けばよろしいのでしょうか」と、
ちゃんと礼をして聞かれたそうです。
すると、一休さんは、何々さんの家をちゃんと教えたそうです。
それはね、一休さんは、大根は根は小さくても小根とは言わない。
出家に向かって、
「おい、小僧とは何事だ」と心の中で思われたのです。
それが、そのお侍さんは偉い人だったから、その気持ちが伝わったのです。
（出典 さが昔話 P48）
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