佐賀市長瀬町 納富信子さん(大14生)

親孝行者の夫婦のところに、年を取ったお婆ちゃんがいました。

お婆ちゃんは歯がなくなってしまって、何も食べられないようになったそうです。

それから、そのお婆ちゃんは赤ちゃんがお母さんのおっぱいは吸っているのを見て、

「私(あたし)も、おっぱいを吸いたか。おっぱい吸いたか」と言うから、

お母さんのおっぱいを吸わせてあげました。

すると、赤ちゃんに飲ませる分しか出なく、おっぱいが足りなくなりました。

それでも、お婆ちゃんが、そんな風に言うから、

「親のことだから」と断りきれなかったそうです。

そして、

「そいない、しょうんなか【仕方ない】。子供は、また、あとで出来(でく)っことのあっけん。

この子ばね、かわいそうか、ばってんが埋めてしまわじゃこて」と言いました。

それから、赤ちゃんを殺してから埋めようとする穴を掘っていたら、そこから金の釜が出て来ました。

それで、その金の釜を売ったら羊の乳でも牛乳でも何でも買うことが出来ました。

だから、その子供を殺さないで良くなりました。

それで、親孝行が出来たそうです。

(出典 さが昔話 P105)

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