佐賀市長瀬町 納富信子さん (大14生)
むかーし。
お釈迦様がね、涅槃(ねはん)に入って、お亡くなりになられる時にね、
明日、みんなで行くて言うことになっとったて。
そいぎぃ、みんな早(はよ)う行こうて言うことになっとったのに、
燕(つばめ)は、いろいろとお化粧して紅つけたい鉄漿(かね)【おはぐろ】つけたいして、遅う行ったて。
そいぎ、雀は、そのままで行ったもんだから、先に着いたて。
そしたら、雀にはね、
「お前は、一番口【先】に米が実ったら食うて良か」て、言われたて。
そいから、燕(つばめ)は遅う来たけんが、
「虫を食え」て、言われんさったて言うお話ね。
そいけん雀は、米の実ったぎぃ、すぐ一番に食べて、燕は虫を食うて。
そいから蚯蚓(みみず)もね、来てから、
「何を食うたら良かろうか」て言うて、聞いたぎね、
「ああ、お前は泥どん食え」て、言われんさったて。
そいぎにゃあとは、
「泥食うてしまうぎぃ、何食うぎ良かろうか」て、また聞きんさったて。
そいぎぃ、
「土用の日に、道端に出て死んでしまえ」て、言われんさったて。
そいけん、今でも土用の暑い時には、蚯蚓は外に出んばならごとなって、死んどっもんね。
そいから、蛇と蛙(ビッキィ)も行った時、
「何食うたが良かろうか」て、蛙が聞きんさったぎぃ、蛇が、
「俺(おい)が尻どん舐めろ」て、言うたけんが、今でん尻から呑むて。
そいぎぃ、ばあっきゃ。
(出典 さがの昔話 P62)