小城市牛津町宿古賀 七田ムラさん(明39生)

 お正月のしめ縄の話があります。

むかし、あるところに庄屋さんの娘さんが一人おんさって、

聟さんをもらわなければならないことになっていたそうです。

そいぎ、親父さんが、難題を出して、

「しめ縄を十ひろ、のうたもん【者】にしか、娘はやらん」と言いんさったそうです。

そうしたら、

「それなら」ということで、次から次に聟さんになろうと思った男が来るけれども、

十ひろ、なうことができる者はいなかったそうです。

そうしたら、一人の男の来た時に、その娘さんが、その男を好きだったのでしょう、

それで、子供を背負って、

「トントン打って、トン打って、ジョキジョキのうて、ジョキのうて、

表の門口(かんどぐち)引っ張って、それをトヒロ【戸広、戸口の広さ】と申します」と、子供を揺すって、歌われたそうです。

そうしたら、その男は、歌のとおりに、縄をチャッチャッチャッなって、

とひろにして、それで、聟さんになったそうです。

そいばぁっきゃ【それでおしまい】

(出典 牛津の民話 P85)

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