小城市小城町松本 納富ミヨさん(明22生)
むかし。
あるところに男の子が生まれた。
親は長い名前を和尚さんから、
「はにはにずんだらぽう、べぇとこべぇとこべんがいのう、
そこでなんばたばたば、ちょうぎりかちょうぎりか、
けんもくもくいんの、ちょっぽりいんの万太郎」
と、付けてもらった。
その子は、よちよち歩くようになったある日、
井戸の中に落ち込んでしまった。
それを知ったある人が、
「はにはにずんだらぽう、べぇとこべぇとこべんがいのう、
そこでなんばたばたば、ちょうぎりかちょうぎりか、
けんもくもくいんの、ちょっぽりいんの万太郎さんの
井戸ん中にひゃあって、死んよっじゃあ【死のうとしているよ】」と叫んだ。
そんなに長い名前を繰り返し叫んでいるうちに、その子供は井戸の中で溺れ死んでしまった。
だから、長い名前は付けるものではないと言うことさ。
(出典 佐賀の民話第二集 P159)