小城市三日月町江利 池田作見さん(明37生)

 むかし、野狐(ヤコ)と田螺(たにし)が、

かけごろ【競争】をすることになったそうです。

そして、野狐が どちらにしても自分が早かろうと思っていて、

「ヨーイ、ドン」と言われた時に、

田螺は野狐の尻尾に食いついていたそうです。

そうして、終点の前まで行った時、野狐が、

もう、これくらいで良いだろうと思って、後ろを振り向いたそうです。

その拍子に、田螺が くわえていた尻尾を離したので、

田螺は前に飛んで行って、先に終点に着いたそうです。

そうして、野狐が

「田螺んやつ、まーだ来んかな、まーだ来んかな」と

言って見ていたところ、後ろから、田螺が

「おーい、俺が一番じゃ」と言って、手を叩いたそうです。

そいで、田螺が勝って、野狐が負けたそうです。

(出典 三日月の民話 P96)

佐賀弁版 TOPへ