小城市小城町大日 藤野クリさん(明31生)
語り おはなし会三日月 飯守容子さん
それで、あるお爺さんが、田の側で、
「誰(だい)か雨ば降らせて、家(うち)の田(たんぼ)に
水ば入れてくるっぎ、良かばってんね」て、
独り言を言っていたそうです。
そのことを、蛇が頭を持ち上げてジィーっと聞いていたそうです。
そうして、青年に化けて、
「俺(おい)が雨ば降らすっけん、お前の娘ばくるっかぁ」と言ったら、
そのお爺さんが、
「雨ば降らせてくるんない、娘はやっ」と言ったもんだから、
その蛇が神通力で、雨を降らせたそうです。
そうしたら、お爺さんは、やっぱり娘はやりたくないから、
四角四面のお堂を作って、お堂の中に娘を入れとったそうです。
そうしたら、その男は大蛇になって、
お堂を七巻き半ぐらい巻いて、最後には尻でお堂を叩き壊したそうです。
そうしたら、蟹がたくさん集まって来て、
蛇の頭から尻尾の先まで、鋏で挟んだので大蛇は死んでしまったそうです。
それは、前に、その娘さんが一匹の蟹を助けたことがあったので、
蟹が恩返しをしたそうです。
(出典 小城の口承文芸 P42~43 原題:3 蛇婿入り)
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