小城市小城町清水 伝承者不詳

語り おはなし会三日月 井上正仁さん
あるとこに、良か娘さんがいたそうです。

その娘さんに、大蛇が良い男になって毎晩、通って来ていたそうです。

そうしたら、しばらくして娘さんの腹が大きくなったので、その男に、

「どっからかんたぁ【何処の人ですか】」と聞くけれども、

男は何も言わんそうです。

それで、その娘さんな、気の利いとったもんですから、

針に糸を通して、その男の着物の裾に針を刺していたそうです。

そうしたら、その男が帰った後に糸がズーッと続いていたので、

娘さんは、その糸をズーッと辿たどって行ったところが、

糸は山の中まで続いていたそうです。

それで、娘さんも山の中に入って行ったら、

山の中に、大きいくちなわが寝取ったそうです。

それで、娘さんが、その大蛇に

あたしゃあ、あんたが人間て思うとったぁ。

あんたから騙されて、お腹が大きゅうなって、

あたしゃあ、どがんすっぎ良かかぁ?」と

大蛇に言ったところが、その大蛇が、

「3月3日の節句に、桃酒て言うて、お酒に桃の花ば浮かばして飲め。

そいぎ、腹の中の子は降りっ」と娘さんに言うたそうです。

それで、言われたとおりに、3月3日に桃酒を飲んだら、

蛇の子供は降りたそうです。

それから、3月3日には女の子は、

桃酒を飲まなければならないと聞いていましたよ。

(出典 小城の口承文芸 P41~42原題:1 桃酒の由来)

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