小城市小城町小隈 馬場静代さん(昭7生)

語り おはなし会三日月 本村美恵子さん

 嫁さんが姑さんからいじめられて、

もう一年中、悔しい思いをしていたそうです。

そうして、お腹に子供が出来たけれども、病気になって、

とうとう亡くなってしまわれたそうです。

 ところが、昔は土葬なので、お墓に埋めたところが、

赤ちゃんがお墓の中で生まれたそうです。

そうしたら、お母さんは、自分が死んでいるので、

お乳を上げられないので、

毎晩、うし三つの頃ですね、お寺に子供を抱いてきて、

「もらい乳ばくれ」と言って頼むそうです。

 それでも、その寺の和尚さんは嫁さんを持っていなかったので、

替わりに重湯おもゆを作って、それを毎晩毎晩飲ませていたそうです。

そうして、可哀そうに、と思って、

幽霊とは知らなかったので、どっから来んさったとやろうか、と思って、

和尚さんが帰っていく後を付けて行ったら、

お墓の中に消えていったそうです。

 それで、そのお墓を掘ったら、赤ちゃんは生きていたということです。

 それで、その赤ちゃんをお墓から取り上げて、

そのお寺で育てて成人させたという話を、

お婆さんから聞いたことがあります。

(出典 小城の口承文芸 P46 原題:14 産女の子抱かせ)

佐賀弁版 TOPへ