小城市小城町本町 武富英男さん(大10生)
語り おはなし会三日月 中山博美さん
清水の観音さんに惚れんさったそうです。
清水の観音さんは、女性ですからね。
それで、北浦のイボの神さんが清水の観音さんに、
「私の嫁さんになってくんさーい」と言ったそうです。
ところが、清水の観音さんは高い所におられるのに
イボの神さんは低い所におられる、身分が違うので、
清水の観音さんが、イボの神さんに、
「そぎゃん【そのように】低(ひっ)か所(とけぇ)おってね、
『嫁御になってくんさい』てんなんて、もってのほか」
と言われて、嫌われたそうです。
それで、イボの神さんが、
「こん畜生、見とってんろ。そのうち、俺(おい)が追いついてくるっじゃ」
と言われて、神さんの所にある石でイボを擦って取れたら、
お礼にどこから石を持って来て、
二倍、三倍にして返さないといけないようになったそうです。
そして、
「そのうち、観音さんよか、高こうなるぞ」て、
イボの神さんの言われたので、
お詣りする人は皆そうするようになったそうです。
「そういうことバーイ」と言って、お婆さんから聞いております。
(出典 小城の口承文芸 p125 原題:92 北浦のイボの神さん)
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