東分 井桶辰郎さん(大5生)
朝の蜘蛛(こぶ)は殺しちゃいかんちゅうですもんね。
そして、晩の蜘蛛は親に似ても殺せちゅうですかね。
その由来(いわれ)は、あの、戦争で負けて逃げて来てですね、
岩の間に入っとったらですね、
そこがすぐ、あいしたちゅうですよ。あの、巣を作った。そいで、
「こりゃあ、蜘蛛の巣かけたごたっとけぇにゃあ入っとんみゃあ」
ち言(ゆ)うて、命拾いしたち。
そいで、あの、朝の蜘蛛は殺しちゃいかんち。
そして、晩の蜘蛛は親に似ても殺せち。
何か殺(やら)れたから親に似とっても殺せちゅうて、言うらしかです。
(出典 三根の民話 P54)