東津 石井良一さん(明35生)

 馬使いに行って、その田んぼに。

馬使いに行って汚れたもんだからその、

川に馬洗いに行った。

ところがその、河童が馬の足をつかんで引こうでしたて。

そいで、まあ、ぎっくいして駆け上がったて、

家の馬小屋におろたいて帰ってきたて。

ところが、河童が馬の足つかめよったじゃろう。

馬小屋の隅にかごんどった。

じゅうつくとったて。

そいぎぃ、奥さんがその、馬の駆けてきたもんじゃい、

びっくいして、その、水仕事ばしよった時、

その水の手にしずくの溜っとったじゃろう。

そいで、その手で、

「こん畜生、河童か」て言うて、殺しなった。

ところが、その、河童の頭ば、皿の上に転うだて。

そいで、そのしずくが、その、溜まったもんじゃいその、

千人力できた。

その、逃げて走ったて。

そういう話ば私たちは小さい時、よう聞きよった。

(出典 三根の民話 P184)

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