神埼町石井ヶ里 石松ノブさん(明34生)
姑(しゅうと)母(がく)さんの、嫁くさんのほら、嫁くさんのあんまい
お寺に詣(みゃ)ぁ行(い)っけんから、お寺から戻って来なっ時、
笹(ささ)藪(やぶん)中じゃいにひっ隠れといなっじゃかんたなたぁ。
あんた、そこからねぇ、出て来なったところが、あの、もう嫁くさんに改心して、
「もう、あぎゃんこたせんじゃあ」て言うて、面ば取いなったところが、
その顔の面が、そのなたぁ、面にがばっと付いてきたってちゃろうが。
根性の悪(わぁ)かけんが、憎かぁわが顔(つら)の面にくい付くもん。
嫁くさんのお寺詣ぁなっとば、欠けさしゅうで思うて、
そがんことすっけんから、詣らんごと化けて出たいなんかすうでしよっけんから、
罰(ばち)かぶっけん。
(出典 未発刊)