神埼町小淵 佐野ハツさん(明12生)
お釈迦さまが、二月の一五日にお亡くなりになっでしょう。
ねぇ、お釈迦さまが。
その時に、あの、こういっぱいお寺にお詣りすると、掛け絵さんが
いっぱい掛ってありますでしょうねえ。
そしたら、その、お釈迦さまがお亡くなりになっとっ時に、
いっぱいもう、虫獣が寄っとっでしょう。
それにその、蛙ですね、蛙は
「ぼくのお尻どん飲んどけ」とか、言うたとか。
そこでその、蛇がお尻から、
「蛙のお尻から飲む」とかて言うでしょう。
そいから、雀は、もうお釈迦さまが
お亡くないなったと、急いでもう来たから
「お米を食べていい」とかて。
そいで、燕はですね、もう立派にこう、
お歯黒したい、お洒落して来よったから、一番遅う来とっでしょう。
そいだからその、お洒落して来おったから、
「土(どろ)食べて、水どん飲んどれ」て、
お釈迦さんから言われとったとか、言うでしょう。
[大成 四七A 雀奉行・七二 蛙と蛇]
(出典 未発刊)