神埼町戸井土 西 ラクさん(明41生)
夜の夜中に、チリンチリン燈籠の中に音がすっけんなた、
あの、起きて行(い)たて和尚さんのこうして見んさったところが、
ぼさっとして、誰か来とっちゃんなた。そいぎ、
「おまえはないしぎゃ来とっか」ちて、
あの、言いんさったぎなた、
「あの、あたしは八寒の地獄に落ちとっ」て。
「そいばってんが、あの、私(あたし)が生きとるうちに、
この燈籠ば上げとったけんが、こいがところさい来た間はその、
そのなた、苦しみが、その逃れる」ち。
そがんあの、幽精が来とっとが言うたてたんたぁ。
そいけんが、やっぱい生きとるうちになた、いろいろ功徳はしとかんば
出来んぼうちゅうてなた、言うてお爺さんの聞かせないよったたんたあ。
(出典 未発刊)