神埼町一丁目 牟田智海さん(年齢不詳)
ほんに親孝行の子供じゃったげなばい。
そのお母さんの病気になって、そうして、
こぎゃな寒か時にたい、
「竹の子がほんに欲しか」て。
そいけん、
「竹の子ばどぎゃんなっとんして、求めて食わせばか」ち言(ゅ)うて。
ところが、ぎゃん雪の隆いよっ時に竹の子はなか。
なかばってん、親孝行の息子じゃいけん、
何処(どけ)ぇかあろうと思うて、
山ん中を、雪の中を探(さぐ)つて探って
歩(さる)きよったところが、一本の竹の子が雪の中から、
ちかっとばっかい頭を出しとっとが
目について、その竹の子ば雪ん中から
掘り出して、お母さんの死に場に喜ばせてやった
「二十四の竹の子掘い」ちゅう、昔話があった。
[大成 補遺四 孟宗竹 AT四〇三B、四八〇]
(出典 未発刊)