神埼町竹原 佐藤キクさん(明24生)
お母(か)さんが病気しとらしたて。
もう長く病気して、
「何(なん)食びゅうごた。何食びゅうごた」て、言いよらしたて。
そうしたぎ、雪の降っとっ時、
「お母さんが竹の子の欲しかばってん、ほんに竹の子いっちょ食うたこんなぁ」
て、言いよらしたて。そうしたぎ、その親孝行息子が、その、
竹の子ば堀いや行かしたら、どう言う風でこっちゃい、
竹の子の一本たっとったて。
そいぎ、そいば持って来て、食べさせたて、ちゅうて、話ば聞きよった。
そいから、また、そのお母さんがもうほんに酒飲うごたぁて、言いよらしたて。
長う病気して。
そいぎんとはどこにじゃいろ、その水汲んで来たところが妙な、
どう言う風こっちゃで、神さんのおかげこっちやい、
どがんこっちやいで、その水が酒に
変わったて、話して聞かせないよったよ。
親孝行ちゅうもんなそぎゃんその、なかことでんそぎゃなあって。
[大成 補遺四 孟宗竹AT四〇三B、四八〇]
(出典 未発刊)