神埼町大門 八谷勘三さん(明24生)

 川渡り一日(ついたち)なた、ぼた餅しよったたんたあ。

そうしたいば、息子が蛇(じゃ)から

食わるっこっちやい、何こっちやいからなた。

ちょっと約束のあったやろう。

そいで、そいば、そこさい行こうでてその、沼さい行こうでてすっじゃい。

その別れじゃいけんが、ぼた餅ば食わせなったて。

そうして、土産に、そのぼた餅ば背負(かる)うて行きよったて。

そうしたら、その川ば渡っ時、大蛇がきたぎと、その餅ば

ポーンポーン放(ほ)ってなた、あぎゃんと、食わせたて。

そうしたぎと、もう、そいすっけんが

もう、川ば渡って向こうさい着(とじ)いて。

そうして、死なじすんだちゅう話。

そいぎぃ、川渡り一日ゃ、ぼた餅ぱ搗くちゅうてなた、

お爺さんたちのそがん言うて、言いないよった。

(出典 未発刊)

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