神埼町石井ヶ里 石松ノブさん(明34生)
椎や行ったて、いくら拾うってちゃ、
もう一人(ひとい)の爺さんとがもう、
いっちょうでん椎の溜らんもんじゃい、
「いくら拾うてたてでん溜らん。どうして、こぎゃん溜らんじゃろうか」
ち、言うて、こうこう袋ばしてみなったぎぃ、何か尻のポーンしとったもんじゃい、
いっちょうでん溜らんじぃ、とうとうちい帰らしたじゃろうか。
いんにゃ、何処じゃい泊まって、泊まっぎとないば、夜明けになったぎと、
鬼が幾らでん、来たてっちゃんかんたあ。
そして、
「コケコッコー」て、言わしたから、
陣八ば、
「バタバタ。コケコッコー」て、言わしたぎぃ、逃げたなたあ。
そいぎぃ、宝物ば沢山持って帰らしたて。
そいぎぃ、今度(こんだ)また、
爺さんが意地悪爺さんが、真似して、
そぎゃんして行かして、泊まらしたぎぃ、
「コケコッコー」て、歌(うと)うてから、
「クスクス」て、笑いなったぎぃ、
「人間のおっ」て言うて、鬼のうち食うてしもうた、て言う話。
[大成二一二 栗拾いAT四八〇]類話
(出典 未発刊)