神埼町石井ヶ里 石松ノブさん(明34生)
桑取いや行たて、ほらなた、桑ば取いないよっぎとないば、
恐(よっそ)わしかごたっ、あら、寝せてあっ子ば、鷲の掴んで、ほら、走ろうがあ。
そうして、あの、京都の杉の木に引っ掛くちゃつかんた。
俺(おどん)が京上(あが)いした時、
こいが子ば引っ掛けてあった杉の木、て言うて、
三月堂の際に立っとって思う。
その三月堂の際に大きか木に、引っ掛けとったち。
そいば、和尚さんの拾うて、また、
その人も坊さんになんさったろうがなた。
[大成 一四八 鷲の育て児]
(出典 未発刊)