神埼町小渕 佐野ハツさん(明12生)
その、娘の、きれいか娘のそけぇおったてじゃんない。
そうしたらない、蛇がさい、蛇がもう、
毎晩もう、立派な男になって来おったらしいじゃん。
そして、毎晩毎晩もう、ヒューヒュー笛吹いて来って。
そいぎぃ、不思議なもんと思うて、もうほんに不思議に思うとったて。
そして、毎晩もう、そがんして来るもんだから、
(あの、音ゃあ、ちょんまげ結いよったでしょうがねぇ)
そこでその、針に糸を通してその、ちょんまげにゃ知らんごと、
こう刺しとったらしいですね。
そいぎその、帰ったその後ば、ずうーっと、その糸ば伝わって行たらしいです。
そしたぎぃ、蛇の穴さい、ずうっと伝わっとったらしいですね。
そして、お節供にはその、桃酒して、お花ば、ピィと浮かばらかして飲むでしょうが。
そして、飲んだらですね、その、男の毎晩毎晩、娘に来おったとがですね、
その娘さんが妊娠しなっとったらしいですたいね。
そして、桃酒飲んだぎ蛇の子供が
いっぱい、ゾロゾロゾロで生まれたちゅう話。
そこで桃酒は飲むもんちて。
女の節供でしょう。
[大成 一〇一A 蛇聟入・苧環型]
(出典 未発刊)