神埼町岩田 野田常三さん(年齢不詳)
お釈迦さんが、だんだん寿命がせまられて、
そうして、みんな動物が、めんめんにその、
長所もある、短所もあると。
そいで、こいから先、どがん風に私が一生気をつけて良かろうかあと、
お釈迦産に聞きぎやあ行たちゅうわけですなあ、たくさん。
そいぎにゃあと、蛇が遅れて来て、
「お釈迦さん、私ゃ、どがんすっぎ良かろうかあ。
食べ物(もん)は何(ない)が良かろうかあ」と。
「わが、そがん遅れて来て、また、なんちょっかあ。
俺(おい)が尻どん食らえ」と言うてその、言わしたと。
そいで、蛙(びつきー)を狙(ねろ)うて、蛇が、
それを食うごとなったと。そして、
「俺が尻どん食え」と、言うたけん、
いつでん蛇は、その、蛙の尻からしか呑まんと。
そう言うような話があいよったなたあ。
[大成 七七 蛙と蛇]
(出典 未発刊)