神埼町屋崎 (語り手・年齢不詳)
ボンノウ鳥ちゅうとは見(め)ぇかからんばってん、
ボンノウ鳥の話ちゅうとの下(しも)んにきぃ、
今もおんもんなたあ。
葦(よし)の中(なき)ゃあ、ボンノウちゅうとのおっでしょうが。
今、見ぇかからんもんね。
そいぎその、ボンノウはない、あの、尻尾にきれいかもんなたあ。
花嫁さんじゃったて。
姑(しゅうと)がくさん、
もう恐(おっそ)ろしゅうその、難しかったて。
そうして、田ん中さいでん、畑さいでん、
行たて、あんた、もうあがろうでて言わっさんてっちやん。
そうしてもう、そぎゃんしよったぎぃ、
とうとう水飲みや行たて面(つら)突っ込んで
その、死んで鳥になって、
「あがろう」て言うて。
そぎゃん言うて、聞きよったぼう。
[大成 時鳥と継母 五四]類話
(出典 未発刊)