神埼町横武東 馬場タツさん(明12生)
むかしくさんたあ、
嫁くさん、ほんに気の利いとおんさったって。
そいぎなたぁ、おしいのごたとの行って来たってっちゃん。
そいぎ、べにゃあぐう、あぐって。
そいけん、
「まあ、あんたんたちとっこい座ってくんさい」て。
そいぎなた、あの、言うてすえて、わがは金(かね)つけて、
紅ばへったいつけてなた。
金ば一枚、(いちみゃあ)一枚、
こうして、ごっといしんさっってんばんたぁ。
壺ばくさんたぁ。
べった紅ば使うぎわかろうが。
そいで、いちみゃあいちみゃあすっけん、
もうじき、その札を使うぎ、わかるじゃろうが。
そいけんなた、そいぎ、そがんして
嫁くさんの聞いてなた、そがんしんさったて。
そいけんなた、じき、その盗人のわかったて。
(出典 未発刊)