神埼町竹原 古賀吉三さん(明23生)
五太郎しゃんの親父が
もうほんに風雅な人間でなたぁ、その、
五太郎しゃんの親父に、
「わらば背負(いな)え」て、
こう田ん中さい行たて、言うたもようじゃん。
そいぎ、
「何度(なんべん)でん、お父(と)ったん背負わんまなんかん」て。
「そりゃあ、のうなんまで背負わじゃごて」
「そんない俺、いっぺんで背負うごた風ことしゅうのう」
ちゅうてっちゃん。
「いっぺんで、どがんすっか」ち。
「すっぱい、つんむやぁて、一回で、おりゃ、背負(いの)うてきたばん」て。
そいぎ、つんむやしなったて。
そいぎ、一回でんなかったて、灰のくさの。
(出典 未発刊)