神埼町利田 納富ミヨさん(明22生)

 むかしね、ほんにやっぱし、

あんまい頭のようなか人のね、おんさったて。

そしたらもう、

「上のぼいすっ」ちて、言うて行きなったぎにゃ、

「自分も行く」ちて、言い出すもんじゃ。

そしてね、行く所の所が、もう、ほんに良かあぎゃんもんと

たちばっかいおんさっけんね。

そいぎ、その人たちん所に連れて行って、今一休さんちて名ば付けて、

その人ば連れて行たてみゅうじゃっかぁ。

おもしろかろけん、ちゅうごた風で、青年こっちゃい何こっちゃいね、

連れて行きなったもようじゃんね。そしたら、行ったらね、

「こっちの方にかけてくんさい」ちて、

かけなったぎね、見たらあぎゃんと、

向こうの人がね、椅子に掛けとんさったぎ、こうして輪を作んさったて。

そいぎにゃ、その人がね、こう二本手をね、しんさったて。

そいぎにゃ、こう三本しんさったぎにゃね、こう胸ば叩きなったてた、その人が。

そうしたら、また、四本しんさったぎね、

こうしてまた、手で振いなったちゅう話じゃんね。

そしたらね、もうそいで済んだちゅう話たんたぁ。

そしたらね、

「何(にゃ)あごとじゃったたろかぁ」ちて、

見よんった人は、わからんもんじゃね。

そいぎ、

「あんたどぎゃん思うて、そぎゃんしたねぇ」ちて、

ほかの人の聞きなったぎね、

「このぐらいのおはぎない幾つ食ぶんね」ちて、

言いなったと思うとったけんが

「二つ」ちて、したて。

「そいぎにゃ、『三つは』ちて、しんさったけん、

『三つ食ぶっぎ、胸につかゆっ』ちて、言うた」て。

「そいぎ、『四つしんさったぎね』そげんあぎゃんと、

『三つでんつかゆっとこれぇ、四つない食べん、食べん』ちて、言うた」

ちて、言いなったて。

そいぎその、聞きんさった人はね、

「輪を作んさったとはね、何で作ったかて言うぎね、『日本は』ちて、輪ば作った」て。

「そうしたぎにゃ、その人がこう、二本したけん、『神と仏』ちした」て。

「そいぎにゃ、三本しんさったぎね、『三方世界は』ちて、言うたぎ、

『胸の内』ちて、たちゃあたぁて。

「そいぎ、四本したぎね、『死に行く先は』ちて、したら『言うに及ばず』ちて、

立派な一休さんになったちて。

(出典 未発刊)

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