神埼町石井ヶ里 石松ノブさん(明34生)
和尚の大事にしよんさった鉢ばなたぁ、
そいが、飴ば持っといなったて。
そいば、わがばっかい舐めないよったて。
そいぎ、他所(よそ)さい行く時、
「あの飴ば、舐むっき死ぬ」て、
和尚さんの言って出なったてじゃんね。
そいぎ、一休さんのおいなったじゃろうがなた、
ほんに大事にしないよった鉢ば、わざと打ち割って。そして、
「みんな、こいば舐めろ」て、
言うて舐めてしもうたて。
そいぎ、和尚さんの来なったぎと、
「申し訳けなか。あなたの大事な鉢ば割ったけん、
『飴ば舐むっぎ死ぬ』て言んさったけん、死のうで舐めた」て、言んさったて。
そいけん、嘘言うぎならんて言う話。
(出典 未発刊)