神埼町竹原 山田トヨさん(明22生)
お釈迦さんのちょっと往生の時、
獣(けだもの)がみんな寄ったじやろう。
そうしたぎとはその、雀はいっちょでんが、
わが身かまわじぃ、じき行たじゃろうだんたぁ。
死んどいござる枕元に。
そうしたぎぃ、燕は余(あんま)い
お化粧したいなんたいしょったけんが、
その、遅うなったてぇ。
そいで、燕はもう、あの、
虫けら食べんばあ、あの、穀物はでけんち。
雀はいちばん口食ぶんもんなたあ。
そいばってんがあ、燕は、
そがなお米てないてんな食べんもんなたあ。
虫ばっかいもんなたあ。
そいけん、お釈迦さんの往生の時、
そがんして教(おそ)えたけんがあ、
できんじやったろうなたあ。
余いお化粧して、紅化粧して、そいでもう、遅ういちなったじゃろうだんたあ。
そいけん、お釈迦さんのそがんして、お米てんなんてんなあ、
食べんごとしてやっじゃろうなた。
[大成 四七A 雀孝行]
(出典 未発刊)