神埼町城原 西 スモ(明28生)
山さいあの、捨てぎゃ蘢とかなんかで。
そいぎ、曲い角にずうっと、
何か印(しるし)ば、
そのお婆(ばあ)さんが、
しといなったそうです。そいぎ、
「もう、あんた捨てられていく者(もん)の、そがんとば何のためすっかぁ」
ちて、聞きんさったそうですもん。
「その、あたしゃもう、捨てらるっけんよかばってん、
お前の帰っ時の道のわかんみゃあと思うて、立ててえた」
ちゅうて、おしまいまでんとこまで行たて。
そうしたぎ、その話ば聞きて、
その息子がまた、連れ戻ったて
言うごたふうでござんす。
(出典 未発刊)