神埼町尾崎 (語り手・年齢不詳)

 むかしむかし、その昔。

ちょっと雀は、ないでん紅つけ鉄奨(かね)つけもせじぃ、

そのままいたけんが、

「お前は、米ば食うてよか」ち言うて、

いちばん口雀が言うたもよう。

お釈迦様が臨終の時、その、おろたいて燕は、

もう紅つけ鉄奨つけしとったてばってんがら

その鉄奨つけかけて行たちゅう話たいなんだ。

そいぎぃ、ない、燕は紅つけ鉄奨付けして、

お酒落していたばってん、間に合わんやったらしか。

そいぎそのもう、雀は、その鉄奨付けよっとげぇ、

そのあぎゃんとちゅうて、おろたいて、

髪ばだらっとさせてながら

行たらしかたんたあ。そいで、その、

「お前は、とれたたあ、でん食べてよか」ち言うて。

蛙がいたて。

「おやない食うか」て言うたぎぃ、蛙は、その、

「虫けらば食べろ」言うたぎにゃ、

「蛇が私が食うじゃんきゃん」て言いよっとげぇ、

「俺(おい)が尻(しっ)どん食え」ちゅうたけんが、

尻から蛙ば、のせちゅうて言いよったんですよ。

[大成 四七A 雀孝行・七二 蛙と雀]

(出典 未発刊)

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