神埼町上六丁 貞島鉄夫さん(大4生)
ある時、
猿(さっ)どんと蟹(がっ)どんがおったて。
いちばん口、猿が木に登って柿取いよったて。
そいぎその、蟹が登いえんもんじゃいけんが、
「おれいっちよくれんかん」ち、下から言いよっ。
そいぎにゃあ、わが、うまかと食うて、
渋か柿ぱ盤にこっかえて、蟹がびっしやいして死んだて。
そいぎぃ、その子が腹きゃあて、猿が下りて来た時、
尻のすうば鋏であぎやんとしたけんが、
そいから先(さき)やあ、猿の尻は真あ赤ちゅうて。
そいでばあきゃ。
[大成 二七 A 蟹の仇討 AT九B]
(出典 未発刊)