神埼町利田 納富ミヨさん(明22生)

 嫁さんの実家に行って、そしてね、

団子をね、食べさせて貰(もろ)うて、そして、

ほんにおいしかったてっちゃんね。そいぎ、

「こりゃあ、何というもんですか」

ちゅうて、聞きなったぎ、

「こりゃ、団(だ)子(ご)ていうと」ちて、

言うもんちゅうて、聞かせんさったぎね。

そいぎ、忘れんごと、

「団子、団子、団子、団子」ちゅうて、

言うて、道行くてちゃね。忘れんごと

「団子、団子、団子、団子」て、言いよったて。

そうしたい、ひょっと、道のあれして、

跳ぶところのあったて。そしたら、

「団子、団子、団子、団子」ちゅて、言いよって、

「エントコ」て、ちぃ言うたてっちゃん。

そいから先ゃあ、もう

「エントコ、エントコ」ちゅうて、

「エントコ、エントコ」言いないよったぎね、

家に帰ったらね、嫁さんに、

「エントコばして食べさせんか」て、

言んさったて。

「ほんに、おいしかった」て。

「エントコちゅうもんな、

どがんとじゃい知らん」て、言んさったて。そいぎ、

「今、食べてきた。ほんにおいしかったじゃっかい」

ちて、言んさったけん、

「エントコちゅうぎ知らんよ」ちて、

「エントコくしゃ」ちゅて、

夫婦(みょうど)げんかしなったちゅう。

「あんたの叩いたけん、団子ごとはれたやんね」

ちて、言んさったぎ、

「うん、その団子、団子」て、言いんさったて。

「団子なら作ってやっけどね、

あんたがエントコて言うもんじゃ」ちて、

言うて言いなったち言う話。

(出典 未発刊)

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