神埼市千代田町城田姉 久間フチさん(明41生)

 お釈迦さんの死のうとされた時、

雀が一番早く駆けつけたそうです。

それで、一番早く来たから、

「お前は、穀もん【物】どん食うてよか」と言われたので、

穀物ができたら一番先に食べるようになったそうです。

それから、燕は、紅付け鉄漿付けして、

お洒落して来たので、遅くなったそうです。

それで、

「お前は、虫どん食うとけ」と言われたので、

虫しか食べんようになったそうです。

それから、ビッキー【蛙】やクチナワ【蛇】も来たそうです。

そうして、クチナワ【蛇】が、

「あたしゃぁ【私は】、なに食うぎよかろうか」て聞かれたら、

横から、ビッキー【蛙】が、

「おい【俺】がしっどん【尻でも】食うとれぇ」と言うたそうです。

それで、今でも、クチナワ【蛇】はクチナワ【蛇】を尻から呑むそうです。

それから、蚯蚓も、

「何食うてよかろうか」と聞いたら、

「お前は、泥どん食うとけ。

そうして、土用のぬっかとけぇ【暑い時に】、外に出て死んどけ」

と言われたそうです。

それで、今でも、蚯蚓は、土用の日になると、

地面の上に出て来て焼け死んでいるそうです。

(出典 千代田の民話 P56)

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